天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース

何度か辞退したが、結局俺は爽子さんお家に上がることになった。

「娘が迷惑をかけて申し訳なかった」
頭を下げるお父さん。
爽子さんはお母さんとお手伝いさんによって部屋に連れて行かれた。
「止めなかった僕の責任でもありますので、気になさらないでください」
「そうか・・・ありがとう」

爽子さんお父さんは50代半ばに見える優しそうな人。
確か、祖父から続く建築会社を自分の代で大きくした苦労人だと聞いた。


「君も、会社をやっているんだよね」
「はい。情報通信系の会社です」
「コンピューターかあぁ」
「ええ。とはいえまだ大きな会社ではありませんし、ライバルも多いので、できることは何でもやります」
まるで企業の飛び込み営業のような口調になってしまった。

「私も、君くらいの頃は必死だったな。色々と大変だろう？」
お父さんが、懐かしそうに俺を見る。