ヴァンパイア†KISS
こんなに楽しいワルツは何年ぶりだろう…?

昔、5歳のころにパパと踊ったワルツを思い出していた。

ママが亡くなってしまう前のあの楽しいワルツを………!



「なぜ……泣いている?」

ふいに、デュオに言われて、わたしは自分の瞳から次々と涙が溢れていたことに気付いた。

「わ…からない。ただ、楽しくて。またワルツを踊れたことが嬉しくて…」

わたしがか細い声でそう言うと、

「人間は楽しくても泣くのか。面白いな」

デュオはミステリアスな碧い月のように、微笑んだ。

そして、曲が最高の盛り上がりを見せるクライマックスで。

春の鳥が空へと舞い上がるように。

デュオはどこまでも飛翔するステップを観衆に見せ付けるように、

軽やかに舞い踊る。

そして曲が終わった瞬間。

わたしの腰を両手で持ち上げ、デュオの頭よりも上へとわたしを突き上げた。



「………なんてワルツだ…」

「わたし今までこんな素敵なダンス見たことがないわ!」

その声とともに、ワっと歓声が会場中に鳴り響き、割れんばかりの拍手喝采がわたしたちのもとへと送られた。

「デュオ…」

わたしを宙へ持ち上げながら、下からじっと見つめるデュオの瞳はとても物憂げだった。

「首の刻印が今、消えたよ…」

「!?」





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