心拍数上昇中!!
「…あ、私飲み物買いに行ってきます」

「分かった!次の種目、犬井さんが出るから早く帰ってきなさいよ」


はーいと返事をし私は、駆け足で自販機へと向かった。


………


ガタンっと落ちる音と共に出てきたペットボトルを取る。ひんやりして、気持ちいい

「………なんか、学生に戻ったみたいで楽しいな」そんな事を小さく呟いてると



「おい」と声がした


振り返ると、そこに同い年ぐらいの男子がキリッ睨みながら立っていた。彼が着てるゼッケンには、【ガイア】と書かれていた。

「…えーと、確か…ガイアって…一階東棟のスポーツ用品店…」


「あぁ」


「えーと、それでなんの用でしょうか?…」戸惑いながら訊ねると彼は、更にキリッと睨みながら

「……清春第一中学校、風の子と呼ばれた木崎彩花だろ?…」


「…………なんでそれを?」

なぜこの人は、私の名前を…黒歴史を知っている。

風の子

それは、勝手に誰かがそう呼んで自然とそれが他校へと知られていった…知られてて当然だけども、誰がそう呼ばれてるとか、そう言うことはバレていなかった。だから…

分かる人なんていないはずだった


「……忘れたのか?雪女」彼は、そう言ってニヤリと笑った。

雪女…


中学の頃、そう私を呼んだのは…たった一人


「……………夏川光太郎」


「あぁ、久しぶりだな」夏川は、そう言って私を見る。


「…久しぶり」


夏川は、中学一年の時一緒のクラスだった。人をからかう事がとにかく大好きな奴だった。そして、私に雪女というニックネームを付け二年になるまでからかい続けてきた。
卒業後、もう二度と会わないだろと思い大いに喜んだ事は、言うまででもない。


「まさか、同じモールで働いてるとは思いもしなかったけど、お前変わったな」


「そうだね、こっちも思いもしなかった…夏川は、そんなに変わってないね。そのひねくれた性格とか」

こんな奴相手してる暇は、ない。そう思いイラつきながら歩き始める。
夏川は、つられるように私の横を歩き始めた


「………相変わらず連れない奴だな、久しぶりに会ったんだから話さないか?」


「連れなくて結構!ついてこないでバカ」

さらに、急ぎ足でみんなが居る場所へと向かうが、ついてくる。


「もう!なんなのさ!!夏川いったいなにがしたいのさ!」
立ち止まりそう怒鳴り散らすと夏川は、笑いながら


「なにがしたいもなにも、普通に話したいだけだから」と言ったのだった。


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