心拍数上昇中!!
「…………」
「…久しぶりに会ったんだ、少しは喋らないか?…そのさ、なんていうか…」夏川は、申し訳なさそうな顔で私を見た。
「…なに」
「その、あの頃は悪かったな…からかって」そう言って謝った。
「…………」
「いや、許してもらえるなんて思ってないけど……卒業式前日にさ、山口に言われたんだ…あることを…」
ゆーちゃんが?
中学時代、数少ない友達の一人…山口優香、姉御肌で柔道部部長をしてた。
趣味が似てる為、よく話したり遊びに行ったりしてた仲。
「………」
「何を言われたかは、言えない…だけど、ほんとに悪かったと思ってる…」
「……そう」
「すまない」そう言って深く頭を下げた
「…………もういいよ、過ぎたことなんだし」素っ気なく言い捨て、夏川から視線を逸らした。
「…………本当か?」
「嘘言ってどうするのよ…お互い良い大人なんだから、分かるでしょ?」そう言うと、夏川は苦笑いしながら そうだなぁと言った。
近くの椅子に座り、ぎこちなくも喋り始めた。
「……夏川さ、風の子なんて付けないでよ。あれ、私にとって黒歴史なんだよ?当時結構嫌だったんだよ」
「…あはは、悪い悪い…もう言わないさ、でも似合ってたから」
「なにが?」
「木崎が楽しそうに走る姿、生き生きしてて綺麗でさ…本当に走るの好きなんだなぁと思って…」
夏川は、優しそうな目をしながら遠くを見つめた
「…………走るのは、好きだったよ…」
そう走るのは、好きだった
それは、今も
でも、当時思ってたのと違って
本気で好きと言うわけでもない…
平均的な好き
「…木崎はさぁ、あの頃に戻りたいとか思ったりしたことあるか?」
戻りたい…
「…なくは、ないかなぁ…でも、時間は戻らないから…でも…もしも、戻れるならバカみたいな事、たくさんしてみたいなぁ」
あの頃、楽しみかったが分からなかった
ゆーちゃんたちと過ごした日々だけで十分楽しかったけど、少し友達と遠出したりとかしたことなかった。だから、憧れてた。
「……木崎は、バカ真面目だったから」
「バカは、余計…赤点組の夏川がよく言うよ」からかいながらそう言うと夏川は、むっとした顔で私を見て うるさい言ってろ と悪態をついた。