危険な愛に侵されて。



一瞬悩んだ。
せめて涼雅だけにも話そうかと。

けれどそれもダメな気がした。


あのメールが来た後、咄嗟にポーチを手に取ってよかった。

中にはナイフがある。


これで勝てるなんて思わないけれど、生身で行くのにはリスクが大きすぎる。



「……ごめんなさい」

口に出して謝り、結局私は誰にも話さず行くことにした。


幸い、玄関には宮木さんではない人が立っており。


『すぐ後に涼雅が来る』と嘘をつけば、何の疑いもなく外に出してくれた。

そこからは全力で走り、神田組の敷地外を目指す。


いくら抜けられたとして、逃げ出したことがバレるのは時間の問題だと思ったからだ。



「───御園」
「……っ!?」


敷地内を出てからも少し走り、一般の車が通る交差点までやってきた。

そして周りを見渡せば、いつのまにか後ろにいた“誰か”に名前を呼ばれてゾッとした。



「お前を待っていた」


すぐに秋崎さんということはわかった。
恩師の秋崎さん。

けれど───



両親の殺しに関わった、憎い相手。

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