危険な愛に侵されて。



その時、スマホがポケットで振動した。
それも一度ではなく何回も。

やっぱり。
涼雅はすぐ気づいたのだ。


もちろん私は電話に出ない。

変な動きをすれば命が危険だということはわかっている。


ただ───


スマホの電源もまた付けっ放しにしておく。

神田組の中にもきっと、相手の場所を特定するのが得意な人間がいるだろう。


もしその人が調べれば、何の危険も犯さずに秋崎さんの現在の居場所を特定できるのだ。

それだけでない。
スマホの中にはGPSも埋め込まれている。


つまり、スマホをどこかで放り出さない限り居場所が特定できるのだ。


秋崎さん。
今日で終わりにしよう。

どうして“拉致”という形ではなく、堂々と接触してきたのかわからないけれど───



「“俺たち”は自首しにきたようなものだ」

秋崎さんと私は、車の後部座席に乗り。
見慣れた顔の運転手が車を発進させる。


抑揚のない静かな声。
まるで覚悟を決めているようで。

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