危険な愛に侵されて。
*
それからもすべてが順調に進んだ。
京子さんと秋崎さんは神田組に捕らえられ。
この一件は終了したけれど。
「悪かったって」
「……嫌い」
「なんでそう怒るんだよ」
「あんな無茶したから嫌い。あそこで神田が来てくれなかったらどうなってたかわかってるの!?」
帰りの車でもずっと怒っていた私は、もちろん部屋に戻ってからもずっと不機嫌で。
「お前だって無茶しただろ?
勝手に抜け出しやがって」
「それでも死のうとしたのは涼雅で…」
もしあのまま秋崎さんが先に撃っていたらと思うと怖くて。
無意識に目から涙がこぼれ落ちてしまう。
こんなにも自分が弱かったのだと驚くほどだ。
「……静音」
「バカっ……なんであんな無茶するの」
「悪かったよ」
「やだよ、涼雅がいなくなったら私、どうすればいいの」
子供のようになく私を、彼がそっと抱き寄せる。
ああ、暖かい。
彼の腕の中はとても暖かく、居心地がいい。
「俺の中で静音が最優先だから」
「じゃあもうあんなことしないで、自分の命を差し出さないで…!」
子供のように泣きながら、涼雅の胸元に顔をうずめ。
何度も叫ぶ。
それほどに涼雅の存在が大きいのだから。
「ああ、約束する」
「絶対!」
「わかった、絶対」
ぎゅーっと涼雅に抱きついて、ピタリと密着する。
少し落ち着いたところで私はまた口を開いた。
「……ねぇ、涼雅」
「どうした?」
「復讐、終わったね」
「……そうだな」
終わってしまった復讐。
つまり私たちはもう縛られる必要はないということだ。
「涼雅」
「なんだよ」
「私、ひとりだよ」
「……は?」
「お父さんもお母さんもいない、ひとりぼっち」
「何バカなこと言ってんだ、俺がいるだろ」
間を空けずにそう言ってくれた涼雅。
それが嬉しくて頬が緩むけれど、まだ足りない。
「うん、涼雅がいる」
「寂しいなんて思う余裕がないくらい、俺で埋めてやるから」
「涼雅の愛?」
「……っ、そうなんじゃねぇの」
頬をほんのり赤く染める涼雅。
確かに“愛”というものを口にするのは恥ずかしい部分もある。
「じゃあ私もたくさん涼雅を愛してあげる。
こんなにも人を好きになったのは初めて」
その時、“好き”という言葉を口にして思い出した。