危険な愛に侵されて。






それからもすべてが順調に進んだ。

京子さんと秋崎さんは神田組に捕らえられ。
この一件は終了したけれど。


「悪かったって」
「……嫌い」

「なんでそう怒るんだよ」

「あんな無茶したから嫌い。あそこで神田が来てくれなかったらどうなってたかわかってるの!?」


帰りの車でもずっと怒っていた私は、もちろん部屋に戻ってからもずっと不機嫌で。



「お前だって無茶しただろ?
勝手に抜け出しやがって」

「それでも死のうとしたのは涼雅で…」


もしあのまま秋崎さんが先に撃っていたらと思うと怖くて。

無意識に目から涙がこぼれ落ちてしまう。


こんなにも自分が弱かったのだと驚くほどだ。



「……静音」
「バカっ……なんであんな無茶するの」

「悪かったよ」
「やだよ、涼雅がいなくなったら私、どうすればいいの」


子供のようになく私を、彼がそっと抱き寄せる。
ああ、暖かい。

彼の腕の中はとても暖かく、居心地がいい。


「俺の中で静音が最優先だから」

「じゃあもうあんなことしないで、自分の命を差し出さないで…!」


子供のように泣きながら、涼雅の胸元に顔をうずめ。
何度も叫ぶ。

それほどに涼雅の存在が大きいのだから。


「ああ、約束する」
「絶対!」

「わかった、絶対」


ぎゅーっと涼雅に抱きついて、ピタリと密着する。
少し落ち着いたところで私はまた口を開いた。



「……ねぇ、涼雅」
「どうした?」

「復讐、終わったね」
「……そうだな」


終わってしまった復讐。
つまり私たちはもう縛られる必要はないということだ。



「涼雅」
「なんだよ」

「私、ひとりだよ」
「……は?」


「お父さんもお母さんもいない、ひとりぼっち」
「何バカなこと言ってんだ、俺がいるだろ」


間を空けずにそう言ってくれた涼雅。
それが嬉しくて頬が緩むけれど、まだ足りない。



「うん、涼雅がいる」

「寂しいなんて思う余裕がないくらい、俺で埋めてやるから」

「涼雅の愛?」
「……っ、そうなんじゃねぇの」


頬をほんのり赤く染める涼雅。

確かに“愛”というものを口にするのは恥ずかしい部分もある。


「じゃあ私もたくさん涼雅を愛してあげる。
こんなにも人を好きになったのは初めて」


その時、“好き”という言葉を口にして思い出した。


< 368 / 370 >

この作品をシェア

pagetop