運命の恋~もしもあの時・・~
胸の動悸も治まらないうちに有希の家に着いた。
インターホンを押す手が少し震えていた。
本当はすぐにでも稗田さんを追いかけたかった。
そんな気持ちを気のせいだと言い聞かせ旦那と有希の家に入った。

旦那は深々と頭を下げ有希夫妻に謝罪とお礼を言ってくれた。
そして、娘には今日は会わずに帰るつもりだったから玄関で離婚する事になったこと、とりあえず明日私と娘を帰らせたいこと、などを報告した。
有希も有希の旦那さんも何も言わずにわかったとだけ言ってくれた。
きっと口を出したいことは沢山あるだろうに、私たち2人が納得出来れば良いって有希は言ってくれた。

旦那さんのお義母さんにも挨拶をして旦那は帰っていった。

「今まで本当にありがとう。有希がいたから私は冷静になれたし離れることで決断も出来た。危なっかしいけど私頑張るからこれからも宜しくお願いします。」

私は有希に感謝の気持ちを込めて頭を下げた。

「もう、水くさいんだから。私と香織の仲じゃない。これからが大変なんだよ。だからひとりで頑張らないで頼ってよね。あっ、でももう一人心強い人がいたわね、稗田さん!」

有希は目に涙を溜めて冗談混じりに言ってくれた。
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