クールな弁護士の一途な熱情
事務室を出て給湯室へ向かうと、コーヒーメーカーでコーヒーを淹れる。
白いカップに注ぐと、濃い香りがふわりと鼻をくすぐった。
部屋に入ったら、コーヒーを置いて一礼してすぐ出る。どんな話をしていても、反応したり耳を傾けたりしないようにする。
花村さんから言われた、お茶だしの際の注意を頭の中で繰り返す。
その中でも念押しして言われたのは、『守秘義務を守るように』ということ。
依頼人のことは詮索せず、ここで得た情報は家族にすらも漏らさない。
あくまで私は事務員だという立場を守ること。
「……よし」
気を引き締め、トレーにふたり分のコーヒーとミルク、スティックシュガーを乗せると給湯室を出る。
相談室へ行くと、ガラス張りの個室では依頼人の女性と静がふたり向かい合い座っているのが見えた。
コンコン、とドアをノックする。
「失礼いたします」
声をかけドアを開けると、「コーヒーをお持ちしました」とテーブルにカップを置く。
その間も静は手元の書類や女性の方へ顔を向け、こちらを見ることはない。
「それでは今回はこの内容で、話を固めていきましょう。今後の進展としては……」
そう話す彼の顔は、いつもと違う真剣なものだ。
そんな静の誠実な対応が理由か、女性は次第に涙をこぼし始める。