クールな弁護士の一途な熱情
「すみません、こんな相談……情けないですけど、誰にも言えなくて」
「いいえ。こんなことなんて言わないでください。力になりますのでなんでもお話ししてください」
けれど静は彼女の表情に動揺ひとつ見せることはない。むしろ安心させるようににこりと微笑んだ。
営業スマイルとか上っ面だけなんかじゃない。
心が込められているのが感じ取れる表情と声に、この胸も小さく揺れた。
……本気で、真剣にこの仕事をしているんだ。
この人のような、困っている人のために。
そう思うと、私もしっかりしなければと自分の背中を叩かれたような気がして、お茶だしを終えた私はすぐさま事務室へ戻り仕事を再開させた。
ただの事務員だろうと、短期のバイトだろうと、静が真剣にやっている仕事に関わることだ。
それに対して、私も本気で向き合うべきだ。
決して遊び半分でこの仕事を引き受けたわけではないけれど、なりゆきだしという気持ちがなかったわけじゃない。
でも、仕事に真剣に取り組む楽しさも難しさも、私も知っているから。
今は少しでも、彼の力になれたらいいと思った。
それから数時間が経ち、作業がようやくひと段落ついた頃には窓の外には夜空が広がっていた。
「はー!今日の分終わり!」
今日はここまでやっていこう、と決めた分の入力作業を終え、私は座ったままうーんと伸びをした。
初日からよく頑張った、私。
自分で自分を褒めながら、壁に掛けられた時計を見ると、時刻はすでに19時すぎ。
すっかり定時を越えてしまっていた。
いけない、そろそろあがらないと。
そう思い、少し散らかったデスクの上を片付けていると、背後のドアがガチャリと開けられる。