【完】俺の隣にいてほしい。
でも、花園学園の生徒だなんて、俺ら緑丘の男子がそう簡単に近づける存在じゃない。


緑丘は石ノ森みたいに柄が悪いヤンキー校として有名らしいし、花園のお嬢様たちからは敬遠されるような学校だ。


この前の三つ編みメガネの女の反応がそうだったように、世間での俺らの評判はあまり良くなかった。


だから、その子に会うため花園を尋ねていくわけにもいかない。


そもそも、名前どころか学年すら知らねぇし。


こんなふうに気になる女ができるなんて久しぶりだったけど、今回ばかりはかなりハードルが高いような気がした。


それでもなぜか、忘れられない。こんなの初めてだ。


そんなある日のことだった。


俺は朝、たまたま用があって、その日は一人でいつもより一本早い電車に乗って学校に向かった。


南桜田駅からいつもの車両に乗り込むと、すでにたくさんの乗客がいて、けっこう混雑していて。


だけどその中にある制服を見つけた瞬間、ドキッと心臓が跳ねた。


あれは、花園学園の制服……って、あれ?


しかもあの姿は、どこかで見たことがあるような……。


そう思ってその子の顔が見える場所までそっと移動する。


そしたらその時俺の目に映ったのは……まさかの俺がずっと会いたいと思っていた彼女だった。


忘れもしない、あのふわふわのロングヘアの女の子。


まさか、俺と同じ通学電車だったなんて。



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