貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
盗んだ物なのだろうか? と思いながら手に取ってまじまじと観察してみたが、どこか貴族の家にあったものらしい様子はなかった。

なぜならば新しいし、真新しい衣の匂いが微かにするだけである。
長持の中の他の衣と同じ香りしかしなかった。

誰かの持ち物であったなら、たとえ微かでも必ず香りが残っているはずである。でもこの唐衣はそれがない。

「あら、素敵!」

近くにいた女官がひょっこりと顔を出した。
年のころは自分と同じくらいだろう。

「私、緑子(みどりこ)よ、今日から女官としてお勤めすることになったの。よろしくね」

「私は花菜。よろしく。あ、これ食べてみる?」

花菜は菓子箱を開けて、緑子に「どうぞ」と差し出した。

賽の目に切って干した餅を油で揚げて、醤油をかけたものだ。
その他にも、海苔を混ぜ込んでから揚げて塩味をつけたもの。そして甘味料のあまづらを掛けたものとあり、揚げた餅は三種類。
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