貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
ああ軽蔑しているのだわと花菜の心が凍りついた時、やや後ろいた別の公達が歩み寄ってきた。
屈みこんで片膝をつくと、手を差し伸べる。

「大丈夫?」

――頭中将?

「あ、す、すみません」

頭中将の手に手を重ね、花菜が立ち上がった時には、既に碧の月君は歩き出している。

「ありがとうございます」
今更のように扇で顔を隠しながら、花菜は深々と頭を下げた。

薄い笑みを浮かべ軽く頷いた頭中将もゆっくりと歩き出す。

その場に残ったのはふたりの公達の香の匂いと、花菜ひとり。

思わず立ちつくし、茫然と見送る花菜の腕を引っ張ったのは緑子だった。

「だ、大丈夫? 痛いところはない?」
「大丈夫よ。でも驚いた」

「驚いたのはここにいる全員よ。ほら、あの人なんて驚き過ぎて気絶しちゃったわ」
「あらら」
< 109 / 331 >

この作品をシェア

pagetop