貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
***

「ご苦労さま」

最近は弘徽殿の女御に着物を届けることが、花菜の仕事になっていた。

「では、失礼いたします」

いつものようにそのまま退出しようとすると、
「ちょっとあなた待って」と、奥から出てきた女房に呼び止められた。

「はい。何でしょうか?」

「女御さまがお呼びです」

「え? 女御さまが?」

「どうぞこちらへ」

先日の事がある。嫌な予感がした。

碧の月君に、また何かを吹き込まれたのだろうか?

実は花菜には心当たりがあった。

弘徽殿へと向かう途中、時々月君とすれ違うことがあるのだが、花菜は、扇を少しずらしては睨んだりしていた。
ほんの一瞬なので、月君が睨んでいることに気づいているかどうかわからないが、でも目が合ったことはある。

あんな下品な女を出入りさせない方がいいとかなんとか、言われたのかも?
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