貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
それから数日後。
「花菜、また弘徽殿の女御さまがお呼びですよ」
女御からの午後の呼び出しは、既に恒例のようになっている。
「はい。わかりました」
切りのよいところで糸を始末すると、ふと隣にいる緑子から声が漏れた。
「こう、何度もお呼びになるということは、花菜は女御さまお抱えの女房になるかもしれないわね」
緑子は、ちょっと寂しそうに肩をすくめる。
「え?……ないわよ、そんなこと」
女御付きの女房?
それが良いことなのか悪いことなのかは花菜には分からない。
折角仲良くなった緑子と別れるのは寂しいが、花菜に優しく好意的でいてくれる女御の元で働けるとなれば、それはそれで、ありがたいことなのかもしれない。
複雑な思いのまま、針を進めた。
「いいから行ってらっしゃい。後始末はやっておいてあげるから」
「でも」
「いいから、実は私楽しみなのよ、花菜が女御さまから頂く唐菓子。ほら、早くいってらっしゃいな」
そんな風に言ってくれる緑子の優しさがありがたかった。
「ありがとう緑子」