貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「弘徽殿の女御が、姫を大層気に入っているようだね」

「え? あ、ああ、女御さまですね。お菓子を作って差し上げたりしています。私の作るメニューが珍しいのでしょう」

「雷に打たれた時の記憶から?」

「はい。パンケーキやプリンとか」

「君は賢いな。そして器用だ。限られた条件の中で、人に認められる物を作り出せる」

それから少し話をして、ではまた、と別れた。


渡廊を渡りきったところで花菜は振り返った。

パンケーキにプリン。そしてあえて使ってみたメニューという言葉。
この世界では使われていないはずの言葉を言っても、彼は何も聞き返してはこなかった。

まるで知っているかのように……。

――あの人は本当に、普通の人間じゃないのかも?
魔法使い?
タイムトラベラー?
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