貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
雑任女が持ってきてくれたお茶を飲みながら、朱鳥は大きく伸びをする。

「疲れたわ」

「ここで、どんなお仕事をしているの?」

「書物の整理をしたり、向こうでね、写しを書いたりしているのよ」

「ああ、なるほど」

コピー機などない世である。
必要なものは必要な時に書き写すしかなく、全てにおいて人力が必要だった。

「裁縫も肩が凝るでしょう? 仕事ってやっぱり大変ね」

「ほんと、ずっと同じ姿勢でいるからかしら、思ったよりも疲れるわ。でも、がんばらなきゃ、お給料が楽しみよ」

そんなことを言いながら、花菜が唐菓子の包みを開けると、朱鳥も包みを取り出した。

「ちょうどね、さっき頂いたの。ふたりで食べましょう」

朱鳥が開けた包みから出てきたのは、団子のような和菓子だ。

「うわー美味しそう」と目を見張ったところで、ふと気になった。

――ん?
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