貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
ちょうどさっき頂いたということは、もしかして?

そういえばついさっき朱鳥の周りでも、あの伽羅の香りがしたような……。

「ん? なあに?」

「あ、さっき頭中将とすれ違ったの。もしかしたらこのお菓子は、とか思って」

「ええ、そうなのよ。頭中将に頂いたの」

思わずお茶が喉に詰まりそうになって、花菜は咳き込んだ。

「ゴホッ、ゴホッ」
「あら、大丈夫?」

「だ、大丈夫よ。朱鳥って、頭中将とお知り合いなの?」

「ええ、兄のお友だちだから……。よくお菓子を持ってきてくれるのよ」

――なんですって?

この世界で男がせっせと女に贈り物をするとなれば、理由はひとつ。

いくら世間に疎い花菜でもわかる。

「朱鳥……あなた、頭中将の」

想い人なのですか?
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