貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「やめて。私は愛人になんかなる気はないわ。頭中将はご結婚の予定があるのよ」

「そ、そうなの?」

「そうなのよ、そんな方とお付き合いなんてできないわ」

思わず勿体ないと、花菜はため息をついた。

確かに愛人という地位は嫌だけれども、相手が頭中将ならそれもありなのではないか? と、ふと思う。

でも、当の朱鳥には全くそんな気はないらしい。

頭中将に頂いたというお菓子よりも、花菜が持って来た揚げ菓子の方を手に取り「美味しい」と満足げに笑った。

それから少し話をして、お互いにがんばってねとねぎらいながら、花菜は校書殿を後にした。

道々、それにしてもとため息をつく。

自分の初恋の相手は朱鳥姫のことが好きで、なのに当の朱鳥姫は全くその気がないという。
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