貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
弘徽殿の女御のお母さまは、女御が幼いうちに亡くなったと聞いている。

そして数年前には栄華を誇っていた当時左大臣であったお父さまが突然亡くなり、女御の後見人は弟君だけになってしまったが、それを帝が心配されて碧の月君が急遽その若さで権大納言に抜擢されたという。

女御に食欲がないと聞いて、珍しい菓子を手に足繁く通う月君は、二人きりの肉親として姉である女御を心から心配しているのだろう。

そう考えると、毎度まいどそのお菓子をもらっていることに、罪悪感が生まれなくもない。

――ちょっと可哀想だったかしら。
でも、もう少し優しければ、あんな態度は取らなかったのに。

せめて、頭中将の半分くらいでもいいから、いい人ならなぁ。
せっかくお顔が美しいのにもったいない。
女御さまは、あんなにお優しい方なのにどうしてあんな性格なのかしら。まったく。

などと考えるうちに弘徽殿な着いた。
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