貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「お菓子をお持ちしましたが、よろしいですか?」

「よかったわ。お待ちですよ」

最近は取り次いだ女房が受け取ることもなく、直接花菜が女御の元へ届けることになっている。

女房に案内されて部屋に入ると、それまで聞こえていた女御がクスクスと笑う声が止まった。

「女御さま、花菜が参りました」

「どうぞ」

「失礼いたします」

「今日は何かしら楽しみだわ」

声に誘われて入ると、お客さまが座っていると思われる前に几帳が立っている。
そちらは見ないようにして、盆を差し出すように前に置き、頭を垂れた。

「チーズケーキというものでございます」

「ちーずけいき? また初めてのものね」

「はい」
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