貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「さあ、準備はできたわ。小鞠、なにか気になったものがあったら言ってね」

市ではあらゆるものが売っていた。
食材に衣料品、地方から運ばれてきた希少な物もあれば、大陸から船で運ばれてきたらしい美しい装飾品もある。

「あれはなんですか?」

「あれはね、多分唐の国の物じゃないかしら」

見るもの全てが珍しくて、小鞠は目を丸くする。
「美味しそうな匂いもします」

食べ物も売っていて、焼き物や揚げ物の匂いが漂い食欲をそそる。
「私が店を出せるなら、食べ物屋さんをやってみたいわ」

「絶対繁盛しますよ!」

そんな話をしながら、ふたりは隅からくまなく店を覗いて回った。

花菜が買う予定でいた裁縫道具を手に入れて、残った銭でお土産の菓子を買った。

「忘れないうちに買っておかないとね」

そして自分たちのお菓子と甘酒を買って、椅子に腰かけた。
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