貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
油で揚げたお菓子は竹串に刺さっていて、甘くない揚げ饅頭のようで香ばしい。

「美味しいです」

「ほんと、温かくて美味しいわね」

通りには、隅の方に寄って買った物を食べている女もいるし、酒を飲んでいる男もいた。

「人が多くて、目が回りそうです」

辺りを見渡して瞬きをした小鞠は、フゥと溜め息をついた。

「帰ったらお昼寝しましょう」

「はい。お買い物はもうおしまいなのですか?」

 名残惜しそうな小鞠に、花菜は横に首を振る。

「ちょっとね、気になったお店があるの。もう一度覗いてみようと思うんだけれど、大丈夫?」

「はい、大丈夫です!」

一度見て回った時に、目をつけていた店があったのだ。

甘酒で喉を潤すと、「さあて、これからが本気の買い物よ」と花菜はニヤリと笑った。

花菜が見つめるのは、女商人が采配を振っている店だ。
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