貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
「姫さまはその分お裁縫がお上手です! 染め物だって。それから読み書きもとても上手にお出来になるし、舞だって舞えますし」
小鞠がすかさずフォローをすると、
「ええ、姫さま、そういうところには全く問題ないと思われます」
嗣爺もそう言ったが、それはそれとしてと、軽いため息をつく。

「試験を受けに行くお召し物が――衣に扇」

「ふふ、大丈夫よ。十二単は準備万端。でも扇が……」

「それだけではありませんがな。宮中へ歩いて向かう訳にも行きますまいて」

返す言葉がなくて、ウッと息を止めた。

邸にはもう何年も前から牛車はない。
牛車があるべき車宿(くるまやどり)は、もう長いこと空のままだ。

「心配ない。私がなんとかする!」
その声に振り返ると、
いつの間にか後ろに立っていたのは花菜の父、藤盛の少将と北の方だった。
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