貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
それを聞いて、嗣爺と花菜がハッとしたように小鞠を振り返った。

「あっ、すみません」
言ってはいけないことを口にした自分に驚いて、小鞠は慌てて両手で口を覆う。

「いいのよ」
花菜はあきらめにも似た深いため息をついた。

――本当に来るのかしら、タクシー。
そう思って待っているのは牛車。

少将は、ちゃんと来るから心配ないと言っているが、さすがにもうそろそろ出かけないと不安な時刻である。

首を長くして門を見つめ、車の音が聞こえないかと耳を澄まし、何も変化がないことにため息をつく。
それを何度繰り返したことか。

三人が不安そうに少将を振り返った。

「大丈夫だよ。そろそろじゃないかな」

少将は澄まして濡れ縁に座わったまま、古い書物を広げて読んでいる。

北の方まで不安そうにオロオロし始めて、「あの?」と少将に声をかけた。
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