貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
その時だ。

ガラガラという車を引く音が聞こえてきた。

嗣爺が門に走る。

そして、一旦外に出た嗣爺と一緒に門をくぐって来たのは――。

「あ、陰陽師さま?」

いつの間にか庭に出ていた少将が、藤原蒼絃と何やら話をして、おいでおいでと花菜を呼ぶ。

「え、牛車というのはもしかして」

その、もしかしてだった。
宮中へ向かう牛車は、陰陽師、藤原蒼絃に頼んでいたのである。


「さあ、どうぞ」

「すみません」

花菜が牛車に乗り込むと、そこにはひとりの姫が座っていた。

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

「私の妹の朱鳥(あすか)。妹は年明けまでの三月の間宮仕えをすることになっていてね。折角だから出仕の日を合わせたんだ」
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