貧乏姫でもいいですか?(+おまけ)
歌うようにつぶやいた彼は、袖の中から横笛を取り出して唇にあてる。

話はもう終わりということなのだろう。

聞きたいことは沢山あったが、花菜はあきらめたように開きかけていた口を閉じた。

今日はこれから女官の試験がある。
そんな時に興奮しても良いことはない。

朱鳥姫が瞼を閉じたことに従って、花菜もゆっくりと瞼を閉じた。

蒼絃が吹く笛の音が、細く耳に響く。
そして心を震わせた。

――ここで生きている……。
私の生きる場所はここ。

精一杯、この都で生きていこう。

そう思ううち、一滴の涙が頬を伝ったことに気づかないふりをして、花菜はそっと扇で隠しながら涙を拭った。
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