桜の城のノクターン

「猫探しは実に順調だったようですねぇ~」

紹介屋は、また別の書類を取り出す。

昨日の子猫のミラちゃんをキーナに届けた件はすでに紹介屋の知るところだったらしい。



「そうなんですよ。たまたま拾った猫ちゃんがキーナさん宅のミラちゃんだったんですよ」


フェニルは事実を述べる。


「それは良かったです~。それでは報酬をお払いしますねぇ~」


そういって、小さな金庫を取り出す。


「え、もういただけるんですか!?」


フェニルは驚いた。

今日は、報告のみで後日リズと共に報酬を受け取るつもりだったのだ。


というか、昨日の今日で解決したことを知っているということ自体おかしいのではないだろうか?


考え込んでいると、その思考さえも解読しているかのように紹介屋の声がかかる。


「ふふふ。これも仕事なので~。完了したことはすでにキーナ様から伺っていますので、それに応じた報酬を支払うようにと言われています~」


カチャカチャっと金庫の鍵を開ける。




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