君は僕のもの 【続】
ヒック…ヒックと不規則な呼吸と啜り泣く声。
何だか他人のことには興味の無い俺だけど…さすがにこれは少し心を痛めるかもね。
しかも愛梨も大切だけど。
早川も昔からの付き合いだし、何だかんだ批難しながらも結局は他の人に比べて大事な存在だし。
けどそれはあくまで時間のせいでなっただけ。
言うまでも無く恋愛感情なんて無い。
ていうか無理。
拒否だよね。
「…美菜、」
さすがに掛ける言葉も見つからない。
愛梨もそんな感じらしい。
「うぅ…っ……嫌われ、ちゃった…」
か細く切な気な声がいつもの早川じゃないなんて思わせる。
「大丈夫だよ、きっと興奮してあんなこと言っちゃっただけだから」
困った愛梨の顔。
「………った。」
「え?」
「“お前”なんて…言われたこと無かった……」
俺なんてよく言ってるけど。
ソレとかアレとか。
「ちょっと行ってくるね…」
そう言って前に進んだ俺の腕を愛梨が掴む。
……ん?
「あたしが行ってくるから」
常に弱気がモットーの愛梨が。
何だか少し頼れそうな目をしていた気が、した?