君は僕のもの 【続】




中庭のベンチ。

微妙な空気。

不揃いな二人。



少しの距離感を保って、ハァ…と溜め息を吐く。


チラリ隣を盗み見ればまだメソメソ泣いてて、女ってどうしてこうもすぐに泣くんだと嫌になってくる。



愛梨で十分だって話。


「……あたしが我が儘で、……自己中っ…だから」

そんなこと言ったら俺だって同じだよ。


思いながらも黙ったまま空を見上げると雲がくっきり浮かんでた。



「本当はずっと…我慢、してて……っ」

当たり前でしょ。

アンタ相当アイツのこと振り回してたと思うんですけど。


けど言わずにまだ空を見上げる。



「それに、…王子より翔太のが……っ…格好良いって、思ってるもんっ」


別にいいけど。


何かあの単細胞と比べられて負けるのは不覚。



まぁ、それが当然の答え。


だってアイツきっと女から見て“格好良い”って分類だと思うし。



「……嫌われちゃったぁ…」

それを言ってからまたワーッと勢い良く泣き喚く。


ったく。

どうして女はこうやってすぐに泣くんだろうか。



けどまぁ多分…


女が泣くのはきっと弱いからで、どんなに気が強い奴でも中身は弱いし、結局は女。



これだから愛梨の言う“乙女心”とやらは分んない。


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