君は僕のもの 【続】




「けど嫌で……

それに翔太、凄く嬉しそうで美菜のことなんか全然気にして無かった」


あの無神経さを今頃、目の当たりしたのか…アンタは。




「あたし以外を考えるのも、見てるのも…嫌、なの」

「分かる分かる」


クスッと笑って言うと、早川は少しだけ笑った。


「似てるよね、あたしと王子って」

クスクス笑いながら『自己中で我が儘なところとか』と言葉を付け足した。



確かに似てるけど…

俺はここまで素直に自分の気持ちは人に言えないし、自分の気持ちにすら気付かないね。


けどその考えには蓋をする。


「ていうか、いつから“王子”って公認になった訳?」

前から感じてた疑問。

何かこの人勝手に俺の呼び方が“矢上”から“王子”に変わってるし。



しかもそんな馬鹿丸出しな呼び方、知らない人が聞いたら間違いなく俺が変質者に扱われそうで困るんだけど。


「文化祭の後あたりかなぁ…?多分。」

「あぁ、文化祭」


これはいまいち良い思い出は無いようである。


勝手にあの無神経単細胞にエントリーさせられてて、愛梨を悲しませたっていう。



でもそのままホテルに直行。


素晴らしいよね…

って何が。



「王子はさぁ、愛梨に対して我慢してる事とか無いの?」


我慢…?

なんだろう、あるかな。


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