君は僕のもの 【続】
「強いて言うなら、
あの鈍感さと無防備さに困ってるって…感じ?」
我慢とはちょっと違うかもだけど。
「あぁ、確かにね」
小さく早川笑って言う。
「…でも、それが愛梨の良い所でもあるよね」
「まぁね」
俺も小さく笑みを浮かべて早川を見る。
「じゃぁ、本当は心の中で思ってて、けど言わなかったこととか無い?」
さっきから質問ばっか。
けどその質問には、
「あるよ」
と少し低い声で答える。
あの時こう言えば良かった。
本当はこう言いたいのに。
そんなの年中思ってるし感じてることなんだけど。
「あ…あるの!?」
「うん」
何で驚くんだよって、ね。
「思ってることを全部言葉になんてしてらんないし」
例え相手が大事で誰にも変えられないくらい愛しい人間でも、苛立つことも不満に思うこともある。
けどそういうのも全部含めてが“好き”だし。
そんな俺を苛つかせるところも、桐島愛梨っていう鈍感女だから。
「言葉にしなきゃ伝わんないけど、言葉にしなくても伝わることはあると思うしね」
「そ、っか……」
「まっ…。俺でも破いてるけどね、手紙」
クスッと悪戯に、微笑。