君は僕のもの 【続】
この顔は完全の“ドSモード”な顔だよ…
普段にの樹に磨きがかかったから「完全」がつく訳です。
少し離れた所からどんどんこっちに近付いてくる先生。
…怒られちゃうよぉ!!
だから戻ろうって言ったんだよ!
なのに樹が戻らないから、だからきっとあたし怒られて…うぅ、
今にも泣きそうな顔で樹を見て助けを求めるけど。
「戻りたいんでしょう?
じゃ、あの人に連れてってもらえば?」
余裕を醸し出すように壁に背を付けて寄り掛かるとニヤリ。
「…だって怒られる!!嫌だよそんなのっっ」
樹の腕を掴んで揺らす。
「オイ!!お前たち何年だっ!?!?」
来るよぉ…来る来る!!!
「…戻らないの?」
横目でチラリと流し目で見る、クスクスと微笑。
コイツは底意地悪い性格だ…
分かっててこんなこと言ってるんだ。
「意地悪…」
見上げる様にして睨んでもこんなの樹には痛くも痒くもないみたい。
口角を上げて楽しそう。
「ふはは、可愛い」
クスッと笑うと、……そのままあたしの身体は宙に浮く。
へ…っ?
気が付けばあたしの目線の斜め上には端正な顔。
「ちょっと樹っ!」
「あー…重いなぁ」
ワザとらしく樹は呟くとそのまま走る様に階段を駆け下りていった。