君は僕のもの 【続】
「樹!樹!」
樹の首に腕を回してひっつきながら後ろから追いかけてくる先生を見る。
きっとアレ体育の先生だよ!!
走るの早すぎるよぉ…っ。
「うるさい」
眉を顰めて嫌そうな顔をするけど口元は笑ってる。
「……うるさいって…」
言われたとおりに黙っておく。
すると急に樹のスピードが上がってそのまま曲がり角の空き教室に入っていく。
ドアを閉めてジッと動きを止める。
ドクン…ドクン。
胸に耳を押し当てると樹の心臓の音が聞こえて、何だか気持ちが良くなってくる…
目を閉じてボーっと、無心になりそうな。
「…行ったね」
フゥと溜め息を吐くとそのままあたしのことを抱いたまま優しく床に下ろしてくれた。
「あ、ありがとう」
恥ずかしくなって樹のことをチラリと見ながら言うと、フフと僅かに微笑した。
そのままあたしの隣に腰を下ろして覗き込むようにあたしを見つめる。
……ん、
何か…恥ずかしいよぉ。
「愛梨」
そのまま耳元に唇を寄せて、あたしに覆い被さる様に迫ってくる樹に目をパチパチしながら顔を熱くさせる。
うぅ…っ!
そして耳朶に唇を掠めて…
「太ったでしょ?」
と、甘くない言葉をくれた。