君は僕のもの 【続】
ふ、太ったってぇ…!!
「な…っ!なな、な……」
口を何度もパクパクさせばがら一人でテンパってしまうあたし。
言い返せるなら言い返したい…
樹の言うとおり、確かにここ最近であたしの体重は増えた。
「へぇ…やっぱり図星?」
ふふっと笑いながら樹はいつもの目をしてあたしに顔を近づけてくる。
どんどんあたしの体勢は崩されて床に背中がピッタリとつく形になって…心臓はバクバク。
「だって…アレだもん」
「アレ?」
顔の横に樹の手。
覗き込むようにその大きな瞳はあたしをジッと捉えて離さない。
「…アレは、アレだよ。」
それを拒むように視線を泳がせて逃がそうとするけど。
すぐに片方の手で顎を掴まれ上を向かされてしまう。
「アレねぇ…
ていうかさ、翔太と何話してたの?」
実際のところ“アレ”なんて存在しないんだけど……
口から出まかせ。
勝手に出ってしまったというか、なんと言いますかって、それはまぁ。
それで今度は真面目な目つきをしてあたしを見るから。
「何って……それは普通にアレだもん…」
気が付けばまた無意識にアレと口走って、
「何かあったんだろうが」
ちょっと強引な口調にドキリとする。