わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
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離れの館での生活も2ヶ月をゆうに越え、クリフ様のお仕事が一段落したので私という竜王の番の公式発表と御披露目する話が側近から出てきた。

それもそのはず、周りの人から見てもわかるほど私たちは着実に距離を縮めていた。

余程のことがない限り食事は共にとり、クリフ様は以前のように夕食を取った後に仕事をしに執務室に戻るようなことはない。
夜は離れの館で二人ゆっくりと過ごすのだ。

週に一回は私の作ったランチを楽しみ、執務の合間にも講義を受けている宮殿内の私の部屋にチラッと顔を出すこともある。

そして今は私のために急いで整備させたという中庭を二人で肩を並べて歩いている。
最近、夕方こうして二人で散歩をするのが日課になりつつある。

そんな姿を見慣れた城の者たちが次のステップを期待しない筈がない。
そろそろ婚約を公式発表したらどうですか、という話になったのだ。




「クリフ様、お花が咲きましたね」
花壇には地上では見たことがない種類の虹色の花が咲いている。
コスモスのようにふわふわとしていて可愛らしい。

実はこの天上界には土というものはない。
この宮殿がある島や街がある大陸は分厚い雲のような大地の上に存在している。
だから地上で見るような植物はなく、宮殿の中庭と言ってもベンチや噴水、バラの花壇がある訳じゃない。
おとぎ話のお城の中庭のような憩いの場所ではないのだから。

宮殿の中庭は広く少し前までは竜族たちが竜の姿で訓練ができる場所であった。

ある時、何となく「たまにはぼんやりとあの広い中庭に座って空を眺めてみたいわ」とオリエッタさん言ったら突然工事が始まってしまったのだ。

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