闇の果ては光となりて
「てめぇら、神楽を離しやがれ!」
「お前は俺達の相手で手一杯だろうか!」
3人を振り切り、こちらに駆け出そうとするコウは、彼らに行く手を阻まれる。
「コウ!」
名前を呼ぶ事しか出来ないなんて、私は本当に無力だ。
ツッキーに教えて貰った護身術だって、上手く使えない。
キーッ···激しいブレーキ音を鳴らし一台のワゴン車が私の横に横付けされる。
それを見たコウが、苦渋の表情を浮かべた事に気付いた。
誘拐···その二文字が頭に浮かんだ。
「離せ! 離して!」
こんな奴らに連れて行かれたら、良く無い事が起こるに決まってる。
両手足をバタバタつかせ、激しく動かし抵抗する。
それでも、現実は無情で、ワゴン車の開け放たれたドアへと引きずり込まれた。
「コウ!」
ドアが閉まる瞬間、コウ叫び声が聞こえた。
「必ず助けに行く! みんなで迎えに行くから泣かずに待っとけ!」
ガチャと音を立てて閉まるドア。
私の視界は車のドアに閉ざされる。
コウ···無事でいてね。
私、待ってるから、だから迎えに来て。
両手で鞄を胸元で握り締め、襲ってくる恐怖と戦う。
「ようこそ、野良猫のお姫様」
馬鹿にしたような男の口調に顔を上げ、その人物を睨み付けた。
隣に座った濁った金色の髪をしたいけ好かない男が、さも楽しそうに笑みを浮かべていた。
こいつが、私の腕を引っ張って車に引きずり込んだ奴だ。
「私を攫ってどうするつもり?」
「おぉ! 野良猫の姫は気が強いな」
「馬鹿にするものいい加減にして! あんな狡い攻撃なんかして馬鹿じゃない」
「お〜言うねぇ。君、自分の立場分かってないのかなぁ?」
助手席から振り返った緑色のアフロの男が、値踏みする様にこちらを見る。
こんな奴に負けたくない、ただそれだけだった。
「私を囮にして、野良猫を潰そうだなんて馬鹿げてる。私はまだ野良猫に入って一ヶ月の新参者なのに」
どうにかして、こいつらの企みを聞き出せたらそんな思いを胸に気丈に振る舞った。
本当は指先がカタカタと今にも震えそうだったのに。
「そうかな? 俺達が手に入れた情報とは随分と違うぜ」
「情報って何よ」
「君の学校の先輩達が色々教えてくれたよ? 日替わりで野良猫の連中に大事そうに送り迎えしてもらってるっ」
「···チッ」
あいつら、絶対無事に戻ったら、泣かしてやる。
思い浮かぶのは、こちらを睨み付ける3年の女子の姿。
「まぁ、大人しくしておいてよ。まだ何もしないから、まだね?」
意味深にそういった男はウインクをして、身体を元に戻した。
どうやら、もう話はしないって事だろう。
「お前は俺達の相手で手一杯だろうか!」
3人を振り切り、こちらに駆け出そうとするコウは、彼らに行く手を阻まれる。
「コウ!」
名前を呼ぶ事しか出来ないなんて、私は本当に無力だ。
ツッキーに教えて貰った護身術だって、上手く使えない。
キーッ···激しいブレーキ音を鳴らし一台のワゴン車が私の横に横付けされる。
それを見たコウが、苦渋の表情を浮かべた事に気付いた。
誘拐···その二文字が頭に浮かんだ。
「離せ! 離して!」
こんな奴らに連れて行かれたら、良く無い事が起こるに決まってる。
両手足をバタバタつかせ、激しく動かし抵抗する。
それでも、現実は無情で、ワゴン車の開け放たれたドアへと引きずり込まれた。
「コウ!」
ドアが閉まる瞬間、コウ叫び声が聞こえた。
「必ず助けに行く! みんなで迎えに行くから泣かずに待っとけ!」
ガチャと音を立てて閉まるドア。
私の視界は車のドアに閉ざされる。
コウ···無事でいてね。
私、待ってるから、だから迎えに来て。
両手で鞄を胸元で握り締め、襲ってくる恐怖と戦う。
「ようこそ、野良猫のお姫様」
馬鹿にしたような男の口調に顔を上げ、その人物を睨み付けた。
隣に座った濁った金色の髪をしたいけ好かない男が、さも楽しそうに笑みを浮かべていた。
こいつが、私の腕を引っ張って車に引きずり込んだ奴だ。
「私を攫ってどうするつもり?」
「おぉ! 野良猫の姫は気が強いな」
「馬鹿にするものいい加減にして! あんな狡い攻撃なんかして馬鹿じゃない」
「お〜言うねぇ。君、自分の立場分かってないのかなぁ?」
助手席から振り返った緑色のアフロの男が、値踏みする様にこちらを見る。
こんな奴に負けたくない、ただそれだけだった。
「私を囮にして、野良猫を潰そうだなんて馬鹿げてる。私はまだ野良猫に入って一ヶ月の新参者なのに」
どうにかして、こいつらの企みを聞き出せたらそんな思いを胸に気丈に振る舞った。
本当は指先がカタカタと今にも震えそうだったのに。
「そうかな? 俺達が手に入れた情報とは随分と違うぜ」
「情報って何よ」
「君の学校の先輩達が色々教えてくれたよ? 日替わりで野良猫の連中に大事そうに送り迎えしてもらってるっ」
「···チッ」
あいつら、絶対無事に戻ったら、泣かしてやる。
思い浮かぶのは、こちらを睨み付ける3年の女子の姿。
「まぁ、大人しくしておいてよ。まだ何もしないから、まだね?」
意味深にそういった男はウインクをして、身体を元に戻した。
どうやら、もう話はしないって事だろう。