闇の果ては光となりて
膝にハンカチを巻き付け立ち上がろう足に力を入れて気付く、膝が無茶苦茶震えてるって。
血の気の引いた指先も凄く冷たくて、恐怖が今頃襲ってくるなんて。
攫われるなんて事、今まで一度だって経験したことない。
そりゃ、怖いよ。
悪意を持つ強面のヤンキーに囲まれて、平気な女の子なんて居ないよね。
ジワリと滲む涙。
情けないけど、怖いよ。
身体の震えが止まらない。
閉じ込められた部屋の窓から外を見て、ここが何処だか確認しなきゃいけないと思うのに、焦れば焦るほど身体が思うように動いてくれないよ。
震えを止めようと、自分の両手で身体を抱き締めてみても、欲しかった温もりは得られない。
「霧生···助けて」
悲鳴に近い声は、少し掠れていた。
抱き締めて、大丈夫だって言ってよ。
怖くて怖くて、仕方ない。
総長、光···コウ、助けて。
『必ず助けに行く! みんなで迎えに行くから泣かずに待っとけ!』
コウの言葉が不意に蘇る。
そうだ、みんな来てくれるんだ。
私は、私に出来る事をやらなくちゃ。
身体を抱き締める手をゆっくりといて、深い深呼吸を数回繰り返す。
大丈夫···まだ頑張れる。
私だって野良猫の一員だ。
こんな所で、へこたれてなんて居られない。
意を決して、静かに立ち上がる。
今度は、もう足の震えはない。
さぁ、この場所の特定をしなきゃ。
一つだけある小窓に向かって歩き出した。
音をたてずに、小窓の下までやってくる。
高い位置にあるそれを覗く為には、足場を見つけなきゃ。
キョロキョロと周囲を見渡して、見つけたのは打ち捨てられるように置かれた背もたれの折れた椅子。
それを持ち上げ、小窓の下まで持ってくる。
窓のヘリに掴まって、椅子の上に立ち上がると、キシリッと椅子が軋んだ。
ハッとして、そのまま立ち止まり、ドアの外で音がしないか確かめた。
「うん、大丈夫。気付かれてない」
片手を胸元に当てありえないぐらいに脈打つ心臓に、大丈夫だから静まれと命令する。
薄汚れた小窓から外を見れば、そこは街外れの景色。
遠くに見える街の方向と、廃墟の側に見える見覚えのあるの鉄塔で、大体の位置は掴めた。
だいたい40分ぐらい車に乗ってたはずだから、多分ここはお化け屋敷だと噂のある丘の上に建つ廃墟だ、ここ。
昔、この家の息子が家族全員を惨殺して、自らも首を切って亡くなったって話だったよね、血塗れの館。
そこまで思い出し、今までと違う意味の震えを感じた。
ヤバい···霊感なんて無いけど、怖すぎる。
血の気の引いた指先も凄く冷たくて、恐怖が今頃襲ってくるなんて。
攫われるなんて事、今まで一度だって経験したことない。
そりゃ、怖いよ。
悪意を持つ強面のヤンキーに囲まれて、平気な女の子なんて居ないよね。
ジワリと滲む涙。
情けないけど、怖いよ。
身体の震えが止まらない。
閉じ込められた部屋の窓から外を見て、ここが何処だか確認しなきゃいけないと思うのに、焦れば焦るほど身体が思うように動いてくれないよ。
震えを止めようと、自分の両手で身体を抱き締めてみても、欲しかった温もりは得られない。
「霧生···助けて」
悲鳴に近い声は、少し掠れていた。
抱き締めて、大丈夫だって言ってよ。
怖くて怖くて、仕方ない。
総長、光···コウ、助けて。
『必ず助けに行く! みんなで迎えに行くから泣かずに待っとけ!』
コウの言葉が不意に蘇る。
そうだ、みんな来てくれるんだ。
私は、私に出来る事をやらなくちゃ。
身体を抱き締める手をゆっくりといて、深い深呼吸を数回繰り返す。
大丈夫···まだ頑張れる。
私だって野良猫の一員だ。
こんな所で、へこたれてなんて居られない。
意を決して、静かに立ち上がる。
今度は、もう足の震えはない。
さぁ、この場所の特定をしなきゃ。
一つだけある小窓に向かって歩き出した。
音をたてずに、小窓の下までやってくる。
高い位置にあるそれを覗く為には、足場を見つけなきゃ。
キョロキョロと周囲を見渡して、見つけたのは打ち捨てられるように置かれた背もたれの折れた椅子。
それを持ち上げ、小窓の下まで持ってくる。
窓のヘリに掴まって、椅子の上に立ち上がると、キシリッと椅子が軋んだ。
ハッとして、そのまま立ち止まり、ドアの外で音がしないか確かめた。
「うん、大丈夫。気付かれてない」
片手を胸元に当てありえないぐらいに脈打つ心臓に、大丈夫だから静まれと命令する。
薄汚れた小窓から外を見れば、そこは街外れの景色。
遠くに見える街の方向と、廃墟の側に見える見覚えのあるの鉄塔で、大体の位置は掴めた。
だいたい40分ぐらい車に乗ってたはずだから、多分ここはお化け屋敷だと噂のある丘の上に建つ廃墟だ、ここ。
昔、この家の息子が家族全員を惨殺して、自らも首を切って亡くなったって話だったよね、血塗れの館。
そこまで思い出し、今までと違う意味の震えを感じた。
ヤバい···霊感なんて無いけど、怖すぎる。