闇の果ては光となりて
「あいつら、どうしてこんな場所に連れてくるのよ」
悪態をつき、椅子から降りた。
とにかく、みんなに場所を伝えよう。
今まで乗ってた椅子に座り、服の中からスマホを取り出せばチカチカと光が点滅してた。
学校でサイレントにしたまま、戻してなくて良かったぁ。
おかげで取り上げられなかったもんね。
たまには学校も役に立つよ。
うちの学校は進学校って事もあり、携帯やスマホの持ち込みにかなり煩い。
だから、いつも学校ではサイレントにしてるんだよね。

スマホをタップし、画面を確認すれば、沢山の着信と沢山のメールアプリのお知らせが来てた。
霧生、総長、光···それからコウ。
着信相手の中に、コウの名前がある事にホッとした。
コウ、頑張って戦って勝ったんだね。
ダメージを受けたまま、3人も相手に戦ってたから、コウまで捕まったんじゃないかと心配してた。

みんなから来てるメールアプリに目を通し、涙が伝い落ちた。
『大丈夫か? 怖くねぇか?』
総長、怖いよ。
『鬼夜叉の奴らに何もされてない?』
私を攫ったのは、鬼夜叉なんだね、光。
『ぜってぇ見つけ出す! だから泣くなよ』
泣いてるよ〜コウ。
『神楽、命を掛けても助け出す。だから、それまでいい子で待ってろよ』
···霧生、命は掛けなくていいよ。
でも、お願い、助けに来て。
 
「みんな···」
流れる涙を手の甲で拭って、手を握りしめた。
よし、みんなにここを知らせよう。
電話は外に声が漏れたら困るから、メールアプリだ。
みんなのアドレスを選択して、この場所の位置を打ち込む。
そして、私の見た人間の特徴と人数を書き込んだ。
総長って人が来る前に助けに来て欲しい事も伝え、最後にこう書いた。
『みんなを信じてる』と。
送信ボタンをゆっくり押した。


次々と帰ってくる返信。
みんな、早すぎだよ、泣き笑いをしながら一つずつ確認した。
私は1人じゃない。
みんなが、来てくれる。
そう信じてるから、助けに来て。
それまでは、どんな事があっても私も頑張るって決めたよ。
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