相思相愛ですがなにか?

「レナの代理をして欲しい……!?」

レナは“オフィスJJ”に所属する私の後輩モデルのひとりであり、若いのになかなか見どころがあると社長が推している若手のホープだ。

「結婚式が終わるまではお仕事はお休みするって話をしてたと思うんですけど……」

休暇に入る前に社長にお願いしていたのを忘れていないか、念のため確認してみる。

「わかっているわ!!でもレナが足首を捻挫しちゃってどうしても代理が必要なの。他の子は別件で仕事が入っていてどうしても都合がつかなくて……。先方も月子が代理なら構わないって言うし……」

社長がすでに方々手を尽くしたことが、憔悴しきった声で分かった。

「お願い!!月子!!レナの代わりにショーに出て!!」

こんなに必死になって頼まれては、嫌とは言えない。

駆け出しのころからお世話になっている社長のためなら、一肌脱ごうではないか。

「わかりました。お引き受けします。それで……ショーはいつなんですか?」

「2週間後の金曜日よ」

……それは、まさに伊織さんとレストランに行く予定の日だった。

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