相思相愛ですがなにか?

「俺も……月子ちゃんに隠していることがあるんだ」

自分の中にある打算的な部分を表に出すことは、確かに抵抗があった。

月子ちゃんに嫌われたくない一心でこれまでひた隠しにしてきたわけだか、それではダメなのだ。

俺がどれだけ月子ちゃんを愛しているか伝えるには、真実を語らなければならない。

「実は……土地を用立てる代わりに冬季緒に月子ちゃんとの結婚を打診したんだ。卑怯な手を使って君を手に入れようとした。ごめんね……」

ビンタのひとつも覚悟して、ぎゅっと目を瞑る。

もし彼女に軽蔑されたとしたらまた振り出しに戻ることになるが、その時は手加減なしでありとあらゆる手を使って口説き落とすまでだ。

「土地……」

しかし、黙りこくって神妙な顔つきで何事かを思案するのだった。

「もしかして、その土地って温泉が出たりします?」

「そうだけど……」

どうして月子ちゃんは冬季緒に売った土地に温泉が出ることを知っているのだろうか。

「ううん!!なんでもないの!!」

月子ちゃんは慌てて首を横に振ると、彼女に嫌われないか内心ビクビクしていた俺の不安を和らげるように、とびきりの笑顔でこう言った。

「そうまでして私と結婚したいって思ってくれて嬉しい!!」

月子ちゃんは怒るどころか、変わらず俺を好きだと言ってくれた。

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