相思相愛ですがなにか?
互いの気持ちが分かり、胸のつかえがとれると、我慢できずに心ゆくまでキスをする。
月子ちゃんは俺に応えるように首にしがみつき、俺は彼女を離すまいと支える腕に力を込めた。
「婚約解消しない?」
「しない」
不安げに俺を見つめる月子ちゃんに即答する。
誰が頼まれたってするものか。
ようやく大手を振って、好きだと言えるのに。
「婚約指輪も返さなくていい?」
「いいよ」
俺の物だっていう証は肌身離さず身に着けてもらわなければ逆に困ってしまう。
月子ちゃんと婚約したことでひっきりなしに届いた怨嗟の声が、崇拝者の無念を物語っている。
「私の初体験もらってくれる?」
「もちろん」
「じゃあ、今すぐもらって?」
とても簡単に頷くことのできない唐突なおねだりに、俺は瞬時に真顔になった。