相思相愛ですがなにか?
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自分でも大胆なことを言ってしまったという自覚はあるが、不思議と後悔はなかった。
伊織さんが私に事を愛していると言ってくれた。
ずっと聞きたくてたまらなかった愛の台詞が聞けて、今なら羽が生えたように、空まで飛んで行けそうな心地だった。
でも、強欲な私はもっと確かなものが欲しかった。
ゲストルームのベッドに押し倒された私は、頭上の伊織さんに抱擁をねだるように両腕を広げた。
セーターをベッドの端に脱ぎ捨てると伊織さんはそれに応えるように私をきつく抱きしめ、すぐに唇を重ねてくれた。
好きも、愛しているも、凝縮されたような口づけに恍惚となる。
「あっ……」
スカートの裾から徐々に伊織さんの指が侵入してきて、ビクンと脚が震えた。
あ、下着は何色だっけ?
よく考えたら、ずっと部屋にこもりきりでろくにシャワーも浴びていないかも……。
ああっ幻滅されたらどうしようっ!!
今まで想像することしかできなかった伊織さんとの一夜が現実味を帯びてきたことによって、私は急に余計なことばかりに意識を割かれていった。