相思相愛ですがなにか?
(あれ?これからどうすればいいんだっけ?)
なにせ、経験がなければ、これが正解というマニュアルもない。
私がまったく集中出来なくなったことを汲み取ったのか、伊織さんがふっと表情を緩め優しく微笑む。
「やっぱり……やめておこう?」
「なんで……」
中止を告げられ、私はまた泣きそうになってしまった。
伊織さんは私の衣類の乱れを綺麗に整えると、駄々をこねる私に優しく言い聞かせるのだった。
「俺は月子ちゃんの気持ちが分かっただけで十分だから。初めてなんだろう?大事にしてあげたい。それに……」
「それに?」
「このまましたら色々と我慢できそうにない。俺にも心の準備が必要だ」
伊織さんが照れ隠しのように口元を手で覆うと、つられて私の頬も真っ赤に染まった。