相思相愛ですがなにか?

「遅くなって悪かったな。それもこれも、月子がもたもたしてたせいだ」

お茶を啜る片手間にお兄ちゃんが告げ口するものだから、不意を突かれて私はぎょっとしてしまった。

「ちょっと!!お兄ちゃん!!」

伊織さんから見えないように、テーブルの下のお兄ちゃんの二の腕を思い切りつねりあげる。

普通、そういうことは言わないものでしょ!?

まったく!!デリカシーをママのお腹の中に置いてきたんじゃない!?

どれだけ抓り上げても涼しい顔で、痛みにうめく様子ひとつないのがまた小憎らしい。

「問題ない。こちらが早く来すぎただけだ」

お兄ちゃんに比べて伊織さんの紳士なことといったら惚れ惚れしちゃうわ、本当に。

「悪かったな。わざわざ連れてきてもらって」

「別にー」

お兄ちゃんは茶菓子に出された羊羹を楊枝にさし、餡子の欠片を唇の端にくっつけながらもぐもぐと咀嚼していった。

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