極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「相変わらず暗がりが好きだな」


貴行がライトのスイッチを押すと、男は眩しさで目をくらませた。

彼の名は藤谷誠(ふじたに まこと)。貴行の幼馴染である。
ツキシマ海運の本社内にいるが、社員ではない。


「首尾はどうだ?」
「俺を誰だと思ってる?」


ずらりと並んだコンピューターの前まで歩きながら貴行が尋ねると、質問で返してきた。


「家出人クラッカーといったところか」


鼻をふふんと鳴らしながら答える。


「聞こえが悪いな。家出は昔だし、〝元〟クラッカーだ」


誠の家は代々続く華道の家元だが、その昔、後を継ぐのを拒否した彼は家出同然で飛び出した。
そのあとは得意のコンピューター技術を使ってクラッカーとして闇の世界で有名になったが、あるときを境にホワイトハッカー――コンピューターやネット環境に関する知識を善良な目的に活かす者――に鞍替え。

< 107 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop