極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

貴行は誠の肩をトンと叩いた。

実家が隣同士の誠とは、それこそ生まれたときからの腐れ縁だ。
母親同士が仲良かったこともあり、ふたりが親しくなるのは必然。小中高と同じ学校に進み、大学だけは離れたが、今はこうして貴行が誠に仕事を依頼するような友好関係である。


「とにかく祝儀は弾むから、出席だけは勘弁してくれ」
「つれない幼馴染だな」
「俺はそういう男だ。それにしても、いくら彼女の父親のもつ技術がほしいからって、よく結婚なんかに踏み切ったもんだよ。あれだけさんざん持ち込まれた縁談だって、全然聞く耳をもたなかったのに」


キーボードのうえを誠の長い指先が華麗に舞う。早いキータッチとともにモニターにはコードが延々と流れていく。


「いろいろ考えるところがあるんだ。誠にもそのうちわかるときがくるだろ」
「なんだよ、その達観したような言い草は」


誠はいったん手を止めて、貴行を睨み上げた。


「それで例のヤツの追跡は?」

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