極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

話を仕事モードに切り替える。


「いいや、首尾よく逃げられた」
「有名なホワイトハッカーが聞いて呆れるな」
「うるせー。俺に恐れをなして尻尾を丸めて逃げたから、どうにもならないんだ。もっと核心まで潜んでくれば首根っこごと捕まえてやるっての」


マルタ島で陽奈子とプールサイドのラウンジにいたときに急きょ入った連絡は、再びハッキングの形跡があったことの報告だった。
その夜のうちに誠を連れて帰国する事態になったため、翌朝、陽奈子の見送りに行けなかったのだ。


「ともかく早急にツキシマ海運のシステム強化を頼むぞ」
「アイアイサー」


ふざけた調子で返事をした誠の肩をさっきよりも強く叩き、貴行は〝ツキシマ海運の砦〟をあとにした。

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