極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

兄を亡くして、自分が月島の家を守らなくてはと躍起になる気持ちは、陽奈子にも痛いくらいにわかる。
陽奈子自身も、父親の工場はなんとしても守りたいと思ったから。だからこそ、この結婚に踏み切った。

智子の背負うものは、きっと陽奈子の比ではない。

そういったことを考えると、今の自分の悩みが浅はかに思えてくる。気持ちを口に出すのが恥ずかしいなんて言っている場合ではないのではないか。
貴行とはれっきとした夫婦なのだから。


「これまで貴行さんは、私以外で結婚まで進みそうなお話はなかったんですか?」


智子が何度となく縁談をもってきていたのなら、少なからずあっただろう。


「一度だけあったわ。取引銀行の頭取のお嬢さんとね」


やはりあったのだ。それも頭取の娘だというのだから陽奈子とは雲泥の差だ。
まさしく智子の気に入る家の出。

< 170 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop