極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「でもね、いざお見合いというときになって、頭取の不正が発覚して失脚。あちらはお嬢さんも乗り気だったから、なんとか話をそのまま進めたかったみたいなんだけど、主人が首を縦に振らなくてね」


それはそうだろう。不正となれば、ツキシマ海運の信用問題にも響く。
婚約前でよかったと安堵しただろう。


「でも本当によかったわ。陽奈子さんが貴行の申し出を受けてくださって」
「私のほうこそ、父の工場を救っていただきましたので」
「あら、それは――」


阿佐美が言いかけたところでリビングのドアがノックされる。開いたドアから家政婦が顔を覗かせた。


「奥様、おぼっちゃまがお見えです」
「貴行が?」


なんと、貴行がここにきたという。
阿佐美とお茶をすることはメッセージを送って伝えていたが。

家政婦が顔を引っ込めると同時に、スーツ姿にブリーフケースを手にした貴行が入ってくる。仕事帰りのまま寄ったようだ。

< 171 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop